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Rockin'on 1月号 「この人に逢いたい」 |
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自然体ヒーローの内に潜む妖艶。オダギリジョーの巻
●バンドは中学の頃から始めたんですよね? パートはドラマーで、当時は8個も掛け持ちしてたと聞きますが、どんなバンドをやってたんですか? 「ほんとバラバラなんですけど……スタークラブ、村八分、アンジーとかのコピーを。あとXとかもやったし、ビートルズとかも」 ●そういえば地元ではWINOの方と一緒にバンドを組んでたんですよね? 「そうですそうです。アンジーとか、村八分をやってたのがそのグループで。高校の時とか、ライヴとかよくやってましたね。だから最初WINOの音を聴いた時はびっくりしたんですよ。いや、もっと危ない方に行くのかと思ってたから(笑)」 |
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●はははは。けど、そのままバンドやって行こうとは思わなかったんですか? 「とにかく留学していろんな勉強がしたいと思っていたので、そっちの方が膨らんでいって。で、気付いたら留学してて、役者をやってて、みたいな」 ●では音楽への情熱が再燃したのは? |
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「アメリカに留学してる時に、向こうのオルタナ系の音楽を毎日聴くじゃないですか。そうしてる内にやっぱり、自分の好きなバンドとかがはっきりしてきて。そうなってからですよね、自分の中に急に音楽が浮かんでくるようになったのって。ええ、アメリカ留学、デカかったです。役者にとっても音楽にしても、絵を描くことにしても……何にしてもアメリカでの経験がなかったら、多分やってなかったんじゃないかなって思いますし、とにかく広がることが多くて。また年代が丁度19才とか20才とかだったんで、一番吸収できる時期じゃないですか。だから余計に良かったのかなって思うんですよね」 ●で、その頃、一番ハマった音楽は? 「トム・ウェイツですね。あとザッパとか。とにかく、曲のインパクトとかパワーとか情熱を感じるものに魅かれるっていうのが凄くあるんです。この人狂ってるな、ぐらいの勢いのあるものに魅かれるんですよ。お笑いとかでもそうなんです。ほんと勢いだけなんだなこの人、っていうのが一番好きで」 ●……江頭2:50とか? 「そう! もうすっごい、すっごい好きなんですよ〜!」 ●ははは。で、オダギリさんは芸術全般に対して等しく興味を持っていらっしゃいますが、それらにはどこか一貫した嗜好はあるんでしょうか? 「これ、質問と合ってるかどうか分からないんですけど……僕の芸術の根底にあるものって、エロスなんだなあって最近、気付き初めてきて。今回の曲にしても、僕が描く絵にしても、詞にしても、結局は全てエロスが元になってるような気がしてるんです」 ●なんでしょう。何か、原始的な? 「んふふふふ」 ●何で笑うんすか。 「や、なんかでも、動物的なもんすよね! でも本当、今回の“t”で僕が一番気にしたのもそこで、一番エロいアレンジというか、仕上がりとか……はい。“t”の判断基準はエロです。それで、詞を書く時もストーリーを完璧にしたかったんですよ。で、そのストーリーを作るに当たって『今回のテーマはもーおエロスだ!』と思って、キャラクター設定とかしはじめちゃって、台本を作って、その中から上手く詞に繋げて……やっと出来上がったのがコレだったんです。だから、実は全てがあるんですよ、この詞の裏には」 ●変な話、映画1本作るノリで? 「やもう、ほんとそうですよ。だからもう時間かかって仕方なかったんですよ、詞が。それでもう、みんなに迷惑掛けちゃったんですけど……リハーサルに入る2日前っていう、ほんとギリギリで仕上げて。2曲目の詞なんて、歌入れの日に詞ができたり。でも、とにかく中途半端なことはしたくなかったんで、周りの人には迷惑かけちゃうけど、ちゃんとやらなきゃ自分が納得できないし、聴いて頂く人にも失礼じゃないですか。だからこの我儘はいいんだって、仕方ないことなんだからって、自分にいい聞かせて」 ●うん。その判断はとてもいいと思います。で、具体的にどういったものにエロスを感じるんですか? 「そうですね。なんでしょうね。スケベな意味のエッチっていうのとはちょっと違うんですよね。なんかちょっとヘンテコな、怪しいものっていうか、本当なら包まなきゃいけないものっていう。そういう部分を一言でエロスって言っちゃってるんだと思うんですよね」 |
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「はい。あの、僕は生き急いじゃうというか、とにかく何かを求めてたりとか、ずっとなんか、一所懸命やってきたような気がするんです。生きてるってことを感じることが、僕にとって大切なんです。で、その、生きてるってことを感じることが僕にとって……事を急がせるのかな、と思って。なんか、何もやってないっていうのが、生きてるような感じに思えないんです。とにかく求めるものがあって、それがどんなものであっても一所懸命走り続ける方が、生きてるって感じがする。自分が、たとえ明日死んでも後悔しないような生き方というか、頑張り方というか……そういうものは絶対失いたくないんで、だからとにかく………………自分でもなんか、短命な気がするんですよ。や、わっかんないんですけど。短命がカッコいいんだっていうんでもなく、でもなんか30才とか40才とかで死んじゃうような気が、何故かするんですね。だからそれまでに自分は自分のできることを全てやらなきゃっていう思いが、なんか自然に湧いてて。だからすっごい走っちゃうんです。でも、だからって死ぬことが怖いとか、そういうんでもなくて……うーん、上手く言えないんですけど」 ●その短命と思う根拠を無理やりにでも知りたいんですが。 「なんでしょうね、その……僕、一つの作品に対して、物凄いエネルギーを使っちゃうんです。こだわっちゃう部分も含めて、瞬間瞬間のエネルギーが物凄いんです。だから、そのエネルギーがどんどんどんどん無くなって、早死にしちゃうのかなあ……まあ、そんな簡単なもんじゃないとは思うんですけど、多分、理由の一つになってるのかなあとは思います。なんかね、物を作る上で、自分の作品にちょっとずつ自分の魂が抜かれてるような気がして。だから『本当にコレがオダギリの作品だ!』って、本当に満足できるものができた瞬間に、なんか、その作品に全て魂が入っていっちゃうんじゃないかって……その時点で死んじゃうんじゃないかみたいな気がしちゃって」 ●でも、それに対して、恐怖は持っていない。むしろ本望である? 「はい。そうあれば幸せだと思うんですよね。だから、本当に命が無くなるっていう死ぬなのか、精神的に死ぬってことなのか、ちょっとわかんないんですけど……早死にしそうな気はします。でも、どうなんでしょうかね、これ?」 ●素敵だと思いますよ。や、死ぬことがじゃなくて、やっぱりそれぐらいの勢いで作ったものじゃないと、人は心を動かされないと思うんです。 「そうですよね。中途半端に作っても駄目ですもんね!」 ●あとね、私が今作を聴いて凄く面白いなと思ったのは、“t”と“空へ飛ぶ時”の2曲で、オダギリさんの2面性が凄く現れていることだったんです。言うなれば前者は闇で、後者は光じゃないですか。で、その両方を持っているのが人間ですよね。また“t”の中に描かれている人物にもやっぱり2面性を感じるんですよ。自分のみならず、他者、対象に対してもそういった見方をしている。つまり、作品にリアルな人間を描き込みたいのかなあと。 「やもう、そんなこと言われるとゾクっとしちゃいますけど(笑)、でも、もしそうであったら嬉しいです。気付かぬ内にそれができてたんなら……うん。映画でもそうなんですけど、特に起承転結とかいらないような気がしてて。や、もちろんストーリー的には起承転結あった方が映画は面白いんですが、でも僕が見たいのは人間と人間のぶつかり合いだとか、人と人の間に流れる空気だとか……そういうものが映画で、いや、日常生活もそうなんですけど、とにかく人っていうのが一番気になるところではあるんですよ。だからそういう風に自然に詞に出てるんだとしたら、凄く嬉しいです」 |
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●ちなみに、作詞&作曲って何時頃から始められたんですか? 「作曲は、頭の中に勝手に浮かび上がりはじめたのが3〜4年前からなんですけど、それをギターでコードとかで弾いて、テープとかにずっととりためてたんです。で、いつかそれを形にしようとか思ってたんですよね。でも、作詞っていうのは全くやったことがなくて。むしろ物を書くっていうのがあんまり好きじゃなかったんですよ。ラブレターとか特にイヤで。ラブレターとか書く時は、黄色のペンで書いてたぐらいだったんですよ」 ●見えないじゃないですか。 「見えないし、日が経つと消えちゃうんですよ。鉛筆とかペンで書くと残るじゃないですか。だから黄色で……」 |
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●そんな物はラブレターじゃないぞ! 「あはははは。でもそれぐらい自分の書くものに対しては自信がなかったり嫌だったり、っていうのがあったんで……作詞に全く手がつけられなくて。発表する上では、絶対作詞は欠かせないって思ってはいたんですけど、なかなか手がつけられないでいて。ほんと、やっと書き始めたのが8月頭ぐらいからで、でも結局書けなくて、9月いっぱいかかってやっとストーリーが固まったけどやっぱり詞にはできなくて、10月に入ってやっと形になったっていう。ほんともう、この間なんですよね」 ●マジで時間かかってますね(笑)。でも、その分達成感は……。 「や、非っ常ーに面白かったです! だからね、2曲目の“空へ〜”の方も、ちゃんと台本があるんですよ。でね、僕が中学の頃にアンジーの“天井裏から愛をこめて”を聴いた時に『天井裏からずっと見てるなんて、なんてカッコいい話だ!』って思って、で、とにかくちゃんとしたストーリーを歌にしなきゃっていう思いがずっとあって。簡単にぽんぽん状態を説明するようなストレートな詞は、なんか嫌で」 ●どうしても物語性が欲しい。 「欲しいんですよ、必ず。で、その物語もちゃんと気持ちなり、さっきの人間っていう部分がちゃんと出ているようなものにしたくて。ただ何か簡単に『好きだ』とか、『お前がいないと寝れないよ』風な、そういう詞にはしたくないっていうのがあったんで、それでとにかく台本作りからはじめて……っていう作業をやった上で、いろいろ考えるようになると、詞が凄く面白いんです。詞ってまたなんか小説と違って限られてるから、その分イメージが広がるじゃないですか。うん、作曲の楽しさは知ってたけど、作詞の楽しさがこんなに楽しいとは!っていうのを改めて発見できて。ほんと今回は詞にハマりましたね」 ●じゃあ、これからも楽曲はぼんぼんできそうですね! 「やもう、作っていきたいっすね。道とか歩いててもぼんぼん浮かんでくるんで、ほんとまた出したいですね」 |
| インタビュー・文/中込智子 |
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